2011年6月16日木曜日

ヨドバシカメラから見える世界

5年前に買った東芝のドラム式洗濯機が「ピーピー」という巨大な音とともに壊れた。うちには服を汚すのが仕事の小さな子供が2人いるので、早速、妻と近くのヨドバシカメラに洗濯機を買いに行った。うちはあまり家電量販店に行かない。特に洗濯機があるエリアはニーズがなければまずいかない。それはみんな同じか 笑)エレベータでヨドバシカメラの3階にあがった。そこで見た光景はほぼ5年前と一緒だった。パナソニック、東芝、日立、三洋の洗濯機が所狭しに並ぶ。でも違いが全く分からない、全部同じに見える。つまり、消費者の目から見て差別化できていない。この前買った時から5年も経ったのだから各洗濯機の機能はかなり進化しているのだろうけど、正直良く分からないのだ。

しかし、5年前と違う点が幾つかあった。1つ目は、中国メーカーのハイアールのドラム式洗濯機とローエンドの韓国のLGの洗濯機が売っていたこと。2つ目は、店内放送が中国語になったこと。3つ目は、日本メーカーの洗濯機には大きなシールが張ってあり、それが「日本製」と書いてあったこと。「おお、いよいよここまで来たか」と思った。

この状況は、196070年代に日本車がアメリカ市場を圧巻していった時とうりふたつなのだ。アメリカのビッグスリー(GM,フォード、クライスラー)は、Made in USAを強調し、アメリカ人消費者の心を引き留めようとしたが、結局、低コストと品質改善を武器に日本の自動車会社が最終的には勝利した。同じことがここ日本で起きないとは断言できない。もし、日本市場を死守できたとしても、新興国での競争に負けたら、スケールでいつかはやられる。その意味で、パナソニックが新卒採用の8割を外国人にすると宣言した理由も見えてくる。日本人の採用にこだわっている場合ではない。世界からベストの人材を採用し、有効活用すべき時代なのだ。

洗濯機の買い物が終わり、エスカレーターを下に降りていくと、シリコンバレーを代表する企業のひとつアップルのi-Podのセクションがドーンと見えた。オーディオセクションの一番目立つ位置をアップルが占めている、つまりアップルの製品が良く売れているのだろう。その裏にソニーの製品が少し寂しげに並んでいた。これは大きな変化だ。ソニーがウォークマンの世界的大成功で作りあげた携帯音楽市場を「自分のCDコレクションを持ち運べるウォークマン」というビジョンを掲げたアップルが奪ったのだ。これはビジョン競争だ。ソニーはiPod/iPhoneを超える製品のビジョンを作らなければ勝てない。これは漸進的改善の世界ではない、破壊的イノベーションの世界だ。

日本はシリコンバレーのイノベーションモデル(ハイエンド)と中国の低コストモデル(ローエンド)の間でサンドイッチにされて身動きが取れなくなっている。


後談:三洋電機が白物家電部門を中国のHaierに売却することになった。日本企業のグローバル化はまったなしだ。


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