2011年7月1日金曜日

破壊と創造の人事(書評)

「日本の人事関連の本はなぜつまらないのか?」アメリカではそれこそ元サウスウエスト航空の人事部長が書いた「HR From the Heart」スタンフォード大教授のフェファーが書いた「隠れた人材価値」など実務家にとってとても面白く為になる本がたくさんある。

人材マネジメントの専門家として、この分野の魅力に取りつかれている私は、なぜ私にすら理解が困難な学術書か簡単なマニュアル本(面接の仕方や就業規則の作り方)ばかりが出版されているのか理解できなかった。そんな中、とても読みやすく、しかも中身の充実した人事の本が出た。楠田祐氏と大島由起子氏が書いた「破壊と創造の人事だ。

この本の魅力は、今の日本企業の人事が抱えている課題が全て網羅されている点。足で生の情報を愚直に収集し、人事業界で広範なネットワーク築いている楠田氏だからできた離れ業だと思う。解決策に関しては各社で話し合って決めていくべきだと思う、それこそが戦略人事だから。企業・競争戦略に合わせて、人材マネジメントを連動させていくのが戦略人事なので、各社が同じ打ち手になることは基本的にはない。

戦略人事の概念が日本に紹介されたのは、1990年代の後半だったと記憶するが、真の意味で日本の人事がビジネスパートナーになれているのだろうか?しかし、人事がビジネスパートナーに脱皮するには、人事がビジネスを理解するだけでなく、経営者も人事の重要性を理解する必要があると思う。経営者と人事のパートナーシップが求められている。経営者がお父さんで、人事部長はお母さん。2人が喧嘩していると、従業員(子供)は困る。

震災後の閉塞感に包まれる日本。この状況を打破する為に、ぜひ人事だけでなく、経営者にもこの本を読んでもらいたい。GEのジャックウェルチが言ったように「人事は経営者にとって最も大切な仕事」なのだから。


後談:ジャック・ウェルチは人事は牧師さんと教師のハイブリッドであるべきだと指摘していた。つまり、教会は理念・バリューの浸透、学校はクロトンビルでのリーダー育成。経営者は人事に期待することを明確化すべきだろう。

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