2011年7月9日土曜日

HR ビジネスパートナー


私は3か月に1回ほど、人事の実務家や研究者の皆さんと一緒に勉強会をやっているのだが、その中で人事ビジネスパートナーの考えがまだまだ日本企業に浸透していないのではという議論になった。まだまだ日本はオペレーション人事しか存在していないのでは?と。多くの外資系企業では現在、人事ジェネラリストのことをHRBP(HRビジネスパートナー)と呼ぶ。もともとは、このHRビジネスパートナーは戦略人事の考えから生まれた言葉だ。そもそも戦略人事とは何だろうか?

私が学んだコーネル大学大学院は戦略人事の学校として世界的に有名だった。戦略人事の概念自体はとてもシンプルで、事業戦略と人材マネジメントを連動させることで競争優位を目指しましょうという考えだ。たとえば、イノベーション(差別化戦略)を目指すIT企業とコスト圧縮戦略を掲げている流通企業で、人材マネジメントのやり方が同じであってはおかしい。差別化戦略であれば、優秀な人材の厳選採用、豊富な教育機会、充実した福利厚生などが考えられる。一方、コスト戦略であれば、パート社員などの大量採用、限定的な教育機会・キャリアパス、必要最低限の福利厚生などになるだろう。

つまり、戦略をはっきりさせて、それに人材マネジメントを連動させましょう。そして、各機能(採用、教育、評価、報償)間の整合性も保つようにしようということだ。人事部長はビジネスパートナーとして社長や事業部長の右腕として戦略人事を実施することで、事業戦略の達成を人的側面からサポートするのだ。

この考えを日本で手っ取り早く学ぶにはデイビッド ウルリッチ1990年代の後半に書いた「MBAの人材戦略を読むと良い。彼はGEShellなどの人事最先端企業の人事部長から丁寧にヒアリングをかさね、人事の機能を4つに分けることに成功した。P&Gの人事はこのウルリッチモデルを忠実に実施し、業績を上げている。P&Gの人材マネジメントに興味がある方はこちら

その4つの人事機能とは
1)ビジネスパートナー 2)チェンジエージェント 3)人材管理エキスパート 4)社員チャンピオン 

3)4)が従来のオペレーション人事。そして、ウルリッチは人事がより戦略的になり、ビジネスパートナーとチェンジエージェントの役割をこなせるようになることで企業業績に貢献すべきだと指摘した。外資系企業の人事で(少なくても名前だけは)浸透したHRビジネスパートナー。皆さんの会社ではいかがだろうか?そして、皆さんはHRビジネスパートナーの役割をこなせているだろうか?

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